人は奇跡の上で生きている

生まれてきた奇跡

今日生きている奇跡

 

三年前に病気になったときのお話です

 

ある日 自転車に乗っていたら 前から大きな虫が顔に向かって飛んできました

手でよけるのは危ないので 顔を左右に振ったところ 景色が揺れ始めました

咄嗟に 命の危険を感じて 自転車から飛び降りました

景色は揺れ続け 間もなく吐き気が襲ってきました

 

何故 命の危険を感じたかと言うと

景色が揺れ始めた場所が

国道沿いの細い橋の上だったからです

国道側に倒れれば 車道に落ちるかもしれません

ですが

反対側は 低い欄干の橋の上です

欄干側に倒れると 橋の下に落下する可能生もあります

 

幸い大事には至りませんでしたが

本来10分もかからない距離を 1時間近くかけて 自転車を押しながら這うように帰りました

途中 何回も自転車を止めて 具合が悪くなり 傍に人が通られると 平気な振りをし・・・

本当は 救急車を呼んでもらったら楽になれると思いながら こんな時 自営業で一人で仕事をしていると 誰にも代わってもらえません

休むにしても とにかく家まで帰って 段取りをしないと・・・

お気遣いいただいて 救急車を呼んでいただかないように 道に横たわっていても 人が通られると 起き上がり座るという 何をしていることやら・・・

 

なんとか家まで辿り着いたけれど

もう立ち上がることができず 家の中はハイハイで動き 自力で布団が敷けず 着替えることもできず 道に寝ていたので 頭に葉っぱもついたまま 押し入れに手を伸ばして 掛け布団にだけくるまって寝ました

ですが

起きても症状が変わらず 病院に行ったら 即入院となりました

血圧も 見たことのない数値で余計に具合が悪くなりそうです

 

でも 脳の精密検査をしても 悪いところがないのです

一週間程して退院をしました

 

そして

病院は 全体的に白っぽい感じなので分らなかったのですが 帰宅してお買い物に行くと 色彩が多くて 脳がついていけない感じになり 吐き気も起き苦痛でした

 

結局 一年以上同じ症状が続きました

病名もなく でも症状だけはあるのです

「症状は 後遺症と思ってください」

と言われたのですが

「悪いところはなく 病名もないのに 後遺症?」

と不安で仕方がありませんでした

 

あまりに症状が続くので

「しいて言うならば 生まれつき首から脳に繋がる血管が片側ないので 頭を振ることは 負担になっているかもしれません」

「ですが 片側がない人は 珍しいわけではありませんので はっきりとは分りません」

というお話でした

 

この先生のお話を聞いて少しほっとしました

決していいお話ではなく 病名が確定したわけでもなく 薬も病気を完治さすものでもなく 症状を軽減させるための 対症療法のみです

それでも 何もわからない怖さより もしかしたらそうかもというだけで ちょっと安心ができました

自分のことながら 人の心理は不思議だと思いました

 

そして 入院から一年が過ぎたころ またおかしな症状になりました

ですが 脳に異常がないとなるとどうすればいいのか???

 

ふと思い

耳鼻科を受診したら

あっさりと 病名を言われました

入院していた同じ病院なのに 何故???

 

「あなたの病名は〇〇です」

と言われたら 決して嬉しくないはずなのに 私は心から嬉しかったです

たとえ病気でも 治すという方向に向いて行けるから・・・

一年以上 症状だけあり 病名もない不安な日々から解放されました

ですが 病気は難儀な病気です

完治するのは難しいとのことです

それでも付き合っていくしかありません

 

脳には異常がないということではあるのですが・・・

不安がないわけではありません

今は症状がなくなりましたが

 

エスカレーターに乗ろうと思うと 前まで行って 私が乗ろうと思っている方向なのかが分りませんでした

お客様のお宅にお伺いし 帰りお借りしていたスリッパを揃える向きも分らないのです

玄関側に向ければいいのか?

室内側に向ければいいのか?

これは脳の問題じゃないかなぁ?

 

お店のカラフルな色も 脳が処理できない感覚になる

電車に乗っても 動く外の景色を見ると具合が悪くなる

人混みでも 多くの動く人を 目と脳が処理できない感覚になる

正常ではないということだけは分ります

今はこれらの症状はないので やれやれですが 病気が完治したわけではないので いつ再発するかは分らず 常に爆弾を抱えた状態には違いがありません

 

そして今は

スマホの画面を早く進めるためにスクロールすると 目がついていけないというか 脳が処理できないという感じになり 吐き気がして 具合が悪くなるので ゆっくりゆっくりしか動かすことができず 辛気くさ~い感じです

半月程前から始めたインスタグラムでも 画面をスクロールしていて

「あかん! あかん!」

と何度か具合が悪い前兆になるという 危ない時がありました

ほんまに難儀です

 

自転車も乗ることができなくなったし

他の難病もあるので

できなくなったこと

してはいけないことはいっぱいあります

 

でも 私は楽しく暮らしています

首だけ振り返ると 具合が一気に悪くなりアウトなので 今は振り返る時は 体ごと振り返ります

面倒くさいけれど これももう慣れました

 

たぶん できなくなったことは 難儀には思っているけれど 悲しかったり 辛かったりという気持ちではないから・・・

「できなくなったことをを嘆いてもしゃ~ない」

という感じです

「それより できることを楽しも~」

です

 

もし 私が三年前に 車道か橋の下に落ちていたら 今日はないかもしれません

そう思うと 全てが有り難いです

今日も皆さんに 雅のホームページにお越しいただき ただただ幸せです

本当にありがとうございます

 

今日の作品にもあるように

生まれてきたことも  今日生きていることも

きっと 当たり前ではないです

全ては奇跡です

人は奇跡の上で生きている

そう思えると 毎日がとても幸せです